リレートーク 教えて!コストリー選手(質問者:北出選手)
選手同士の素のやり取りが魅力の、2021-22シーズンからはじまった「リレートーク」。前回は質問者のポトヒエッター選手が北出選手を指名し、トークを繰り広げて終了しました。今シーズンは、北出選手からスタート!北出選手が気になる選手として選んだのは、今年1月に入団し、アーリーエントリーで「NTTリーグワン2022−23」に5試合出場したティエナン・コストリー選手です。お互いにゴルフ好きということもあり、オフシーズンはほかのチームメイトと一緒に何度かコースを回ったことがあるそう。「タマ(コストリー選手のニックネーム)は喋りやすいこともあり、指名させていただきました」という北出選手がコストリー選手に何を聞くのか!二人のトークをお楽しみください。
オーストラリア生まれのニュージーランド育ち
北出まずタマがどこで生まれて、どうやって育ってきたのか、また、いつからラグビーをはじめたのか、生い立ちを聞きたいな。
コストリー2000年6月16日、ニュージーランド人の父とオーストラリア人の母のもと、オーストラリアのシドニーで生まれました。4歳の時に、父の仕事の関係で、ニュージーランドに引っ越しをすることになって、ラグビーは5歳の時に始めました。それから、中学、高校とニュージーランドで過ごして、18歳の時に日本に留学することになりました。
もともと高校卒業後に行きたいチームがあったんですけど、そのチームには入ることができなくて、将来について考えていた時、高校の監督から電話があって、日本でプレーする選択肢もあるけど、どう?と聞かれたんです。2番目に希望していたチームか、それとも日本か、かなり悩みましたが、最終的に未知の世界である日本へ行くことに決めました。
北出タマは日本に来て、今年で5年目?
コストリーそうです。
猛勉強と持ち前の負けず嫌いで日本語を習得
北出僕は、これまでのラグビー人生でたくさんの外国人選手とプレーしてきたけど、その中でもタマの日本語の上手さは群を抜いている。いつもすごいなと感心しているんだけど、どうやって日本語を身に付けたの?
コストリー来日した当初は、全く日本語を喋ることはできませんでした。留学生の中には日本語を学んでから大学に入学する学生もいますが、僕はゼロからのスタート。毎日、授業で約6時間日本語を学んで、宿題もありました。もちろん勉強もしましたが、日本語が身に付いたのは、1年の時、チームには外国人の先輩がいなくて、日本人ばかりという環境も良かったのかもしれません。間違っていてもいいから日本人の選手に積極的に話しかけてコミュニケーションを取ろうとしていました。
北出すごいなあ!
コストリーあと、ずっと日本語が下手なままというのも嫌だったんです。喋るのなら、正しい言葉や文法を使って話したいですし、言いたいことをしっかり伝えたい。そういう思いがありました。
北出タマの真面目な性格と負けず嫌いも相まって、日本語が上達したのか。しかし、1日6時間か…。僕は1日に6時間も勉強したことがないかも(笑)。
コストリー子供の時だったら日本語を聞くだけで上達したと思うのですが、そういう年齢は越えていましたから。たくさん読んで書かないと、語学は身に付かないと思いますね。
昨シーズンの悔しさを晴らすシーズンに
北出僕が英語を喋れるようになるには、一人で海外留学して、1日6時間勉強をしないといけないということか…。タマは本当にすごい!次に聞きたいのは、神戸スティーラーズに入団した経緯なんだけど。ほかのリーグワンチームに行くという選択肢はあったの?
コストリーIPU環太平洋大学に入学することになったのは、神戸スティーラーズの元ヘッドコーチ、デーブ・ディロン氏が僕のプレーしている動画を見てくれたのがきっかけのようなんです。それもあって大学2年の時くらいから声をかけていただいていました。神戸スティーラーズは2018-19シーズンにチャンピオンになっていますし、トップレベルのチームです。ほかのチームからもオファーはあったと聞いていますが、僕の中では神戸スティーラーズしか考えられなかったですね。
北出実際にチームに入ってみて、どうだった?
コストリー「強いチームの一員になれる!」と入団が決まった時は喜んでいたのですが、昨シーズンは、神戸スティーラーズらしくない試合が続いて、悔しいシーズンになってしまいました。合流した当初は、正直に言うと、「あれ?想像していたのと違う」と戸惑いましたけど、試合にも出させてもらって、チームのために、僕も力になりたいと考えるようになりました。神戸スティーラーズの力はこんなものではないですし、今シーズンは昨シーズンの悔しさを晴らすシーズンにしたいです。
デビュー戦は印象深いものなんです
北出昨シーズン、タマは何試合に出場したの?
コストリー5試合です。
北出リーグワンの試合に出た感想は?
コストリーフィジカルの強さが大学生とまったく違いますよね。東芝ブレイブルーパス東京との試合が、デビュー戦だったのですが、トイメンがリーチ(マイケル)選手で、タックルにいったら、強いというか、硬い!という感触でびっくりしました。(ワーナー・)ディアンズ選手も年下ですが、強かった。あと、1度ラインブレイクして、結構な距離を走ったのですが、タックルされてノックオンをしてしまったんです。大学の時だったら抜けたところで、そのままトライまで持っていけたなって。大学とのレベルの差をそこでも感じました。
北出外から見ていて、タマはあの試合、デビュー戦という気負いもなく、思い切りプレーしていたように思うな。
コストリー思い切りプレーすることはできましたね。デビュー戦は、マーシ(マルセル・クッツェー)が体調不良となり、前日に急遽スタメンで出場することが決まりました。緊張はありましたが、力を出し切ることだけを考えて試合に臨みました。敗れましたが、個人的にはタックル回数も多かったですし、ボールキャリーもできて、印象深い試合になりました。
北出デビュー戦は印象に残るよね。僕もそう。サントリー(現・東京サントリーサンゴリアス)に入って1年目の開幕節パナソニック(現・埼玉パナソニックワイルドナイツ)戦がデビュー戦だったんだけど、リザーブで後半に出番がくるかなと思っていたら、先発のフッカーが開始10分で負傷して、思っていたより早くグラウンドに入ることになった。70分間、とにかく無我夢中でプレーし続けて、試合は負けたけど、すごく印象に残っているな。じゃあ、タマにラストクエスチョン!
コストリーなんでも聞いてください(笑)!
目標に向かってステップアップしていく!
北出タマの今後の夢は?
コストリー1番大きな目標は、日本代表のキャプテンになって、ワールドカップで優勝することです!
北出日本代表のキャプテンとして、日本語は必要だと思うし、可能性はあるな。
コストリープレー面ではまだまだ成長しないといけないですけど。
北出日本語に関しては、リーチさんと同等のレベルだし、これからさらに成長して、その夢を実現させてほしい。
コストリー絶対に実現させたいです!まずは3年以内に日本代表になる。それが今の目標です。北出さんは、日本代表に選ばれて、ワールドカップメンバーにもなっていますけど、初めて日本代表に招集されたのはいつですか?とても気になります。
北出代表合宿に呼ばれるようになったのは、25歳の時かな。サントリーに入団して1年目は試合に出たけれど、2年目は出番がなくて、3年目でレギュラーを掴んで、自分が出て優勝を経験できた。その後、日本代表に初めて招集された。3年目のシーズンは、僕にとってターニングポイントだったように思う。
コストリー僕も北出さんのようにステップアップして、3年以内に日本代表に呼ばれるようになりたいですね。ポジションは違いますが、北出さんという良い見本がチームにいてくれるのもありがたいです!
北出良い見本であり続けられるように頑張ります!それに、チームが優勝することで、代表も近づくと思うので、今シーズン、タマと一緒に優勝したいな。
コストリー優勝しましょう!
最後は「優勝しよう」と誓い合った北出選手とコストリー選手。古巣で日本一を経験している北出選手は、優勝の喜びは何ものにも代えがたく、これまでのハードワークが報われた瞬間だったと言います。現在、今までにないくらい厳しいトレーニングを積んでいる神戸スティーラーズ。コストリー選手は「プレシーズンの努力が実を結ぶようにしたいです!」とリーグワン優勝に向けて決意していました。ちなみに、オフシーズンは、週に1度のペースでゴルフに行っていたそうですが、練習がはじまってからは「トレーニングがとにかくきつくて…。休みの日はリカバリーに当てているので、ゴルフにはまったく行けていません!」と笑う2人。最後に仲良くエアゴルフ(笑)のカットで締めくくってくれました。
次回はコストリー選手が質問者として登場します!どうぞ楽しみにお待ちください。