取材日:2023年8月2日
2023年度新加入選手インタビュー Part.5 杉本 崇馬選手
3歳上の兄は、NECグリーンロケッツ東葛に所属する杉本 悠馬選手。崇馬選手自身は、子供の頃、野球に夢中になっていましたが、兄の影響で高校から本格的にラグビーをはじめたそう。そして、中央大学から今年1月、アーリーエントリーとしてコベルコ神戸スティーラーズへ。花園や大学選手権への出場経験はありませんが、周りの選手の影響やトレーニングもあり、現在、めきめき成長中です。「すべてが新鮮で、練習が楽しいです」と話す、伸び盛りの22歳は、あらゆることを吸収し、いつかチームを引っ張る存在になりたいと意気込みを述べてくれました。
「レベルの高い環境で多くのことを吸収し、 Steel Matesの皆様に応援される選手になりたい」
WTB、FB
杉本 崇馬
SUGIMOTO SOMA
PROFILE
- 2000年10月2日生まれ(22歳)、東京都世田谷区出身
- 佐野日大高校→中央大学
- ポジション/WTB、FB
- 身長・体重/180cm・86kg
入団当初は緊張の連続!
チームにはもう慣れましたか。
「高校や大学の先輩はいないのですが、ケンティさん(松岡 賢太)、(山田)生真さんや(松永)貫汰さんが話しかけてくれて、チームに早く馴染めるような雰囲気を作ってくださいました。まだ『慣れた!』とは言い切れないですが、徐々に慣れてきています」
関西に住むのは初めてですよね。
「そうです。関西の人はおしゃべり好きで、人に対してすごく興味がありますよね。最初は関西人のノリに驚きました。あと関西弁も。練習試合の時にスコアボードの担当をしていて、得点を間違えたんです。そうしたら、(李)承信から『何してんねん!』と突っ込まれて。冗談なのか冗談でないのか、関西弁のニュアンスがわからなかったので、本当に怒っていると思って『怖っ!』とビビりました(笑)。神戸に来てから7ヶ月以上が経ちましたし、関西弁にも徐々に慣れてきています」
アーリーエントリーとして1月からシーズン終了の4月末まで練習に参加しましたが、感じたこととは。
「レベルが高い!そのひと言に付きます。入団する前からわかっていたことですが、山中 亮平さん、ナニ・ラウマぺ選手、ラファエレ ティモシー選手といった代表クラスのメンバーがそろっていて、改めてすごい環境だなと思いましたし、毎日が緊張の連続でした」
ところで、ラグビーはNECグリーンロケッツ東葛でプレーする兄・杉本悠馬選手の影響ではじめたのでしょうか。
「もともと小学1年から野球をしていて、ショートを守っていました。甲子園出場を目指していたんですが、徐々に現実を見るようになって…。怪我も多かったですし、このまま野球を続けていてもどうだろうと思うようになって。それで、中学3年の秋、野球チームを卒団した後、兄が中学からラグビーをはじめていたこともあり、僕も一応ラグビー部に名前だけ(苦笑)所属していたので、練習に参加するようになったんです。高校も野球部という選択肢はあったのですが、ラグビーの面白さに気付いて、そのまま続けることにしました」
『打倒・國栃』を掲げた高校時代
中学3年の秋からラグビーをはじめたんですね。
「経歴に入れるのも申し訳ないくらい、中学では、ほとんど練習に参加していなかったですから(苦笑)。兄とは3歳離れているので、中学は入れ替わりだったのですが、顧問の先生から『お前も入るよな』と言われて、とりあえず入部届けに名前を書いたという感じだったんです」
でもやってみたらハマったと。ラグビーのどういうところに魅力を感じたのでしょうか。
「野球も団体競技ではあるんですが、ラグビーの方がよりチームで戦っている感じがしました。それに、ボールを持つと、パスをしたり、キックができたり、走ったり、“自由”を感じました」
高校のラグビー部はどうでしたか。
「高校から本格的にはじめたのですが、実はラグビー部に入部して1週間で右手首を骨折したんです。しかも激しいプレーをしたわけでもなく、上から体の大きな先輩に乗られただけでポキっと(苦笑)」
怪我をしてプレーするのが怖くならなかったのでしょうか。
「怖くなかったといえば嘘になりますが、その怪我で体の弱さに気が付いて、体を鍛えるようになりました。高校入学当時、身長183cmで、体重は60kgなくて、ガリガリだったのですが、怪我が治ってからウエイトトレーニングと食事で体重を増やして、1年で10kg増量して、70kgになりました」
ポジションはどこだったのでしょうか。また、試合にはいつから出ていたのでしょうか。
「50m走のタイムが6秒前半で足が速い方だったので、ウイングをしていました。試合には1年から出場させてもらっていました」
高校時代の最高成績を教えてください
「高校3年の時に、國學院大學栃木に勝って選抜大会に出場しました。栃木は、國學院大學栃木が強くて、高校時代は『打倒・國栃』を掲げていました。高校3年の時は、僕らの代に良い選手がそろっていたこともあり、春は選抜大会に出場できたのですが、花園予選では決勝戦で負けてしまって。僕らは春からチーム力を上積みできなかったのかなと。ただ、花園出場という大きな目標は達成できなかったですが、自分らで練習メニューを考えるなど選手主体でチームを作ってきて楽しかったですし、充実した3年間を過ごすことができました」
兄がNECに入団、大学2年が転機に
大学は、兄の悠馬選手が進んだ日本大学ではなく、中央大学へ進学しました。どうして日本大学ではなかったのでしょうか。
「日本大学にはまだ兄が在学していました。兄のお陰でラグビーをはじめ、兄には感謝しているのですが、数ヶ月しかプレーしなかった中学でも、高校でも兄と比べられてきました。大学では同じ道ではなく、違う道で勝負しようと思いました」
悠馬選手とはポジションも同じですよね。弟から見た兄というのは。
「兄はセンスが抜群で、華があるタイプです。僕はどちらかというとコツコツとやる努力型です」
とはいえ、大学でも1年から試合に出ていたんですよね。
「1年の春から試合に出させてもらっていましたが、チームの足を引っ張っていて…。記憶に残っているのが、1年のリーグ戦です。初戦で東海大学と対戦したのですが、100点ゲームで大敗しました。僕が1対1で何度も抜かれてしまったせいです。ディフェンスは大きな課題でした」
ディフェンスは改善されましたか。
「その頃と比べると、随分と良くなりましたが、得意ではありません。ディフェンスに関しては、これからもレベルを上げていきたいです」
大学時代からトップリーグ(当時)のチームでプレーしたいと思っていたのでしょうか。
「2年の時に、兄がNECグリーンロケッツ(現・NECグリーンロケッツ東葛)に入って、そこで僕もトップリーグでプレーしたいと思うようになりました。それからまた体を鍛えて、食生活も変えて、ラグビーでも考えてプレーするようになって、そうすることで自分のプレーが俯瞰で見えるようになり、キックカウンターやハイボールキャッチを強みとして頑張っていこうと考えるようになりました」
やらなければならないことはたくさんある
神戸スティーラーズへ入団することになったのは。
「3年の時に声をかけていただいて、何度か練習に参加させていただいて、入団が決まりました。神戸スティーラーズは強くて歴史あるチームです。それに、レベルの高い選手がたくさんいます。1月からチームに加わり感じたのは、どの選手も自分の考えを持っていることでした。先輩にプレーについて質問したら、ちゃんと理論立てて説明してくれて。ラグビーがうまいだけでなく、考えてプレーしていることがよくわかりました。そこは大学時代と全く違うところです。ラグビーIQを高くしていかないといけないですし、フィジカルももっと鍛えないと。練習では、アタさん(アタアタ・モエアキオラ)、(今村)陽良さんなど、みんなに何度も吹っ飛ばされています。フィジカルは最優先で強化しないといけないところです。トップレベルで戦える体を作って、スピードもさらに伸ばしたいと思います」
チーム内ですごいと思った選手は。
「いっぱいます。同じポジションだったら、(山下)楽平さんをはじめ、井関(信介)さん、中(孝祐)さん、(松永)貫汰さん。みんな、すごいなと思いました。あと、どの選手も試合中よく喋るなって。周りに的確な要求をして、コミュニケーション能力も高いと思いました」
今後は具体的にどういう選手になっていきたいですか。
「高校の時からずっとベン・スミス選手のプレーを手本にさせてもらっていて、動画をよく見ていました。スミス選手はキックもパスも何でもできて、安定感抜群です。スミス選手のようなプレーヤーになっていきたいと思います!」
ディビジョン1で兄と対戦できる日を目指して
チームは8月14日から始動します(取材日は8月2日)。今の心境は。
「1月に入団してから、すべてが新鮮で毎日が楽しいですし、今シーズン、世界的な指導者の下で、どんなラグビーをするのかワクワク感があります。吸収できるものはすべて吸収したいと思っていますし、これからがますます楽しみです」
ラグビー選手として目標は。
「試合に出て活躍することが目標です。先輩たちと同じように人としても成長し、チームを引っ張る存在になっていきたいです」
GR東葛は残念ながらディビジョン2に降格しましたが、ディビジョン1の舞台で兄と対戦したいのではないでしょうか。
「対戦したいですね!兄は2年ほど前から試合に出ています。僕もポジションを獲得し、GR東葛が昇格した時にはグラウンドで兄と対戦できるよう頑張ります!」
試合に出たら、どこを注目してほしいですか。
「強みであるハイボールキャッチとキックカウンターです!」
では最後にSteel Matesの皆様にメッセージをお願いします。
「Steel Matesの皆様が応援したいと思えるチームになっていきたいですし、僕自身も皆様から応援したいと思ってもらえる選手に成長していきたいです!応援よろしくお願いします」
おっとりとした口調で、愛されキャラといった雰囲気の杉本選手。第9節のホストゲームでアーリーエントリー選手のトークショーが行われた時に、ファンの方々から求められて、これまでの人生で初めてサインを書いたとか。その時に「お名前は?」と聞かれ、「1日も早く試合に出て、Steel Matesの皆様に顔と名前を覚えてもらえるようにしたい!」と決意したそう。将来が期待される有望株を今後とも応援よろしくお願いします。