取材日:2023年11月16日
2023-24シーズン新加入選手インタビュー Part.8 ブリン・ガットランド選手
2007年からウェールズ代表のヘッドコーチを務め、4度のシックスネーションズ優勝やラグビーワールドカップで2度の4強入りを達成し、フランス大会でも同チームを指揮した名将、ウォーレン・ガットランド氏を父に持つ、ブリン・ガットランド選手が神戸スティーラーズに入団しました。スーパーラグビーのブルーズ、ハイランダーズ、チーフスで50試合以上に出場し、初めてニュージーランド以外のチームでプレーする「ガッツ」こと、ガットランド選手に、来日を決めた理由や、司令塔としてのモットーなどを伺いました。
「優勝に貢献するために神戸スティーラーズに来ました。チームメイトと力を合わせて勝ち進み頂点に立ちたいですね」
SO
ブリン・ガットランド
BRYN GATLAND
PROFILE
- 1995年5月10日生まれ(28歳)、ニュージーランド・ハミルトン出身
- 出身校/ハミルトンボーイズ高校
- 過去の所属チーム/ノースハーバー、ブルーズ、ハイランダーズ、チーフス
- ポジション/SO
- 身長・体重/178cm・88kg
レンズ(デイブ・レニー)の存在が大きかった
まず日本でプレーすることに決めた理由を教えてください。
「サンウルブズとの対戦で日本に来たことがありますし、ラグビーワールドカップ2019日本大会の際にも観戦のために訪れました。日本に来るたびに、人々が優しくて、街も綺麗で素晴らしい国だと感動し、チャンスがあれば日本でプレーしてみたいと思っていました。最終的に神戸スティーラーズでプレーしようと決めたのは、レンズ(デイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ、以下HC)の存在が大きかったですね」
デイブ・レニーHCの存在が大きかったというのは?
「レンズは優れた指導者であり、素晴らしい人格の持ち主です。レンズのもとでラグビーがしたいと思ったことも神戸スティーラーズに入団を決めた大きな理由です」
レニーHCからどのようなことを求められていますか。
「ゲームコントロールとキックが私の強みです。持ち味を高いレベルで遂行し、チームに貢献することを求められていますし、レンズの期待に応えられるようにしていきたいと思います」
リーグワンについては、どのような印象を持っていますか。
「数年前からニュージーランドでも日本の試合を見ることができるんです。どのチームにも世界各国のトップ選手が所属していて、選手層が厚く、優勝できる力を持っています。競争力が高く、タフな大会だと思います。スーパーラグビーで一緒にプレーしていた選手も、リーグワンのチームに多いので、彼らと対戦できることも楽しみですし、開幕が待ち遠しいですね」
神戸スティーラーズのことはチーフスでチームメイトだったブロディ・レタリック選手らから話を聞いていたのでしょうか。
「ガズラ(ブロディ・レタリック)だけでなく、以前神戸スティーラーズでプレーしていた選手からもチームのことや街のことを聞いていました。皆、日本人選手の能力が高く、スタッフも良い人ばかりで、施設も整っていて素晴らしいチームだと言っていて。まだチームに合流して間もないですが、皆が話していた通りのチームだと感じています」
神戸の街はどうですか。
「街も素晴らしいですね。海と山に囲まれていますが、レストランやショップなどもたくさんあり、とても快適に過ごせています。マイキー(マイケル・リトル)やエパ(ジェラード・カウリートゥイオティ)からは、神戸ビーフが美味しいと聞いていますので、早く味わってみたいですね」
父はすべてにおいて良きロールモデル
ところで、ガットランド選手はいつからラグビーをはじめたのですか。また、そのきっかけを教えてください。
「父の影響で、5歳からラグビーをはじめました」
お父様は、偉大な指導者であるウォーレン・ガットランド氏です。お父様の存在というのは?
「私にとって父はラグビーに関してはもちろん、すべてにおいて良きロールモデル(手本)です。よく会話をするのですが、父は常に正しいフィードバックしてくれます。そのような存在が、身近にいてくれてありがたいです」
ラグビーについてお父様から教えられたことというのは。
「父とは子どもの頃から一緒にラグビーの試合を見て、レビューを聞いたり意見を言い合ったりすることで、ラグビーに対する知識や理解を深めることができました。また、ラグビープレイヤーとしてキャリアを積んでいく過程で、父からフィードバックを受けることがあって、そこから学んだこともあります。父はよく『キックを教えたのは私だ』と言っていますが、彼の現役時代のポジションはフッカーですからね(笑)。キックのスキルは自分で練習を積んで習得しました。父からは、何か1つのことというよりも、ラグビー全体について教えてもらっています」
フッカーをしようとは思わなかったのでしょうか。
「母がフォワードでプレーしてほしくなかったようですね(笑)。それもあって幼い頃からずっとバックスでプレーしています」
ずっとバックスでプレーしているとのことですが、ポジションの変遷を教えてください。
「センターやフルバックでプレーすることもありましたが、10歳からずっとスタンドオフです」
長年スタンドオフでプレーしてきて、司令塔として大事なことは何だと思われますか。
「ラグビーという競技の本質を理解することが大事だと思いますね。その上で、チームがどういうラグビーをしたいのかをきちんと理解する必要があります。チームをリードするのは『10番』ですから。チームの目指すべきラグビーをグラウンドで体現できるよう、パス、キック、ランといったスキルを駆使して導いていかないと。そういう意味では、高いスキルを身に付けることも重要だと思います」
ライバルと切磋琢磨しながら最高の結果をチームにもたらしたい
神戸スティーラーズの目指すラグビーについての理解という点ではどうですか。
「チームがやろうとしているラグビーについては理解しています。あとは回数を重ねていくだけです。チームメイトとコミュニケーションを取りながら練習をし、開幕には目指すラグビーを完璧に体現できるようにしていきます」
2023シーズンのスーパーラグビー第11節ハイランダーズ戦で怪我をされたと思うのですが…。
「左腕の上腕二頭筋を断裂しましたが、すでに回復していて、コンディションは万全です」
同じポジションには、日本代表の李 承信選手という若き司令塔がいます。
「ワールドカップ日本代表メンバーにも選ばれた才能あるスタンドオフです。彼とは同じポジションを争うライバルですが、その前にチームメイトです。チームにとって最高の結果をもたらすことができるよう、お互いに助け合いながら、切磋琢磨していけたらと思っています」
12月9日(土)に「NTTリーグワン2023-24」が開幕します。目標をお願いします。
「優勝に貢献するために神戸スティーラーズに来ました。チームメイトと力を合わせてリーグ戦を勝ち進んでいって、最終的に優勝トロフィーを掲げることができるようしたいですね」
では最後にSteel Matesの皆様にメッセージをお願いします。
「皆様にスタジアムで会えることを楽しみにしています。神戸スティーラーズの勝利には、皆様の応援も必要です。スタジアムに足を運んでいただき、熱いご声援をよろしくお願いします。皆様と優勝の喜びを分かち合えることができるよう、全力を尽くします!」
ハミルトンボーイズハイスクール時代に、国内大会の決勝戦で3本のPGとドロップゴールを決めて、12-10でチームを優勝に導いたことがあるガットランド選手。2016シーズンには、マイター10のノースハーバーに所属し、オタゴ戦でドロップゴールを決めて勝利に貢献するなど、プレミアシップディビジョン昇格の原動力になりました。李選手との司令塔争いに注目が集まるガットランド選手ですが、試合出場の際は、堅実なゲームメイク、正確無比なキックにどうぞご期待ください!