取材日:2023年12月1日
2023-24シーズン新加入選手インタビュー Part.9 ブロディ・レタリック選手
2019-20シーズンから2シーズン、神戸製鋼コベルコスティーラーズ(当時)でプレーし、現役オールブラックスの名にふさわしい活躍ぶりを見せた「ガズラ」こと、ブロディ・レタリック選手が、3シーズンぶりにチームに帰ってきました。自身にとって3度目となるラグビーワールドカップ2023フランス大会は準優勝という結果に終わりましたが、母国でリフレッシュし気持ちを切り替えて、今はリーグワンでの戦いが待ち遠しいと言います。しかも、今シーズンは、山下 楽平選手と一緒に共同キャプテンとしてチームを率いることになりました。「共同キャプテンに任命されて光栄です」と12月1日に行われた記者会見で述べていたレタリック選手に、ラグビーワールドカップ2023フランス大会のこと、神戸スティーラーズへ再加入を決めた理由などを聞きました。
共同キャプテンとしてチームを頂点に導くことが私の役割です
LO
ブロディ・レタリック
BRODIE RETALLICK
PROFILE
- 1991年5月31日生まれ(32歳)、ニュージーランド・ランギオラ出身
- 出身校/クライストチャーチボーイズ高校
- 過去の所属チーム/ホークスベイ、チーフス
- ポジション/LO
- 身長・体重/204cm・121kg
- 代表歴/ニュージーランド代表(109キャップ)
神戸に帰ってくることができてハッピーです
おかえりなさい!2月に再加入が発表されてから、選手、スタッフだけでなく、Steel Matesも合流を楽しみにしていました。
「ニュージーランドでは自国のチームでプレーしていなければ、代表に選ばれないというルールがありますので、前回在籍した時は、ラグビーワールドカップ2023フランス大会に向けて、チームを去る決断をしました。退団する時はとても寂しかったですし、家族も神戸を離れることを悲しんでいて…。3シーズンぶりにまたこうやって神戸に帰ってくることができて幸せに思います」
昨年10月29日、新国立競技場で行われた日本代表とのテストマッチにニュージーランド代表の一員として来日しましたね。
「久しぶりの日本ということで、試合前からワクワクしていました。前回チームに在籍した時に一緒にプレーした山中(亮平)や李(承信)に会えたことも嬉しかったです。李に関しては、若くて才能のある選手だと思っていましたが、チームや日本代表で経験を積み、さらにスキルに磨きがかかっていました。ワールドカップ日本代表メンバーにも選ばれましたし、これからも成長し続けて、神戸スティーラーズだけでなく、日本のラグビー界を引っ張っていくような存在になっていってほしいと思います」
あの試合に関しては、レタリック選手は後半26分、コンタクトプレーに対しレッドカードの判定が下されてしまいました。
「レッドカードが出たのが、終盤だったことが救いでした。序盤だったらどうなっていたことか。最後の最後までどちらに転ぶかわからない展開になりましたが、なんとか逃げ切ることができてホッとしました。日本代表の成長を感じられて、印象深い試合になりました」
ところで、改めてレタリック選手が神戸スティーラーズに再加入を決めた理由を教えてください。
「神戸スティーラーズでプレーした2シーズン、素晴らしい時間を過ごすことができました。選手、スタッフは優しい人ばかりですし、チームには良い文化があります。標榜するラグビーも好きでした。また、神戸という街も美しくて、私も家族も快適に過ごすことができて、ラグビーとプライベートを満喫し、良い思い出しかありません。日本でプレーするなら神戸スティーラーズでと決めていたこともあり、今回、再加入する運びとなりました」
リーグワン開幕が待ち遠しい!
今シーズンは、山下 楽平選手とともに共同キャプテンに就任することになりました。
「とても光栄に思います。私の考える良いキャプテンというのは、フィールド内外でロールモデル(手本)となることです。フィールドの外では、経験や知識を活かして若手に対して彼らが成長できるように手助けをし、フィールドの中では、誰よりも良いプレーをする。それに時にはヘッドコーチとキャプテンとで意見を交わす必要があります。良いキャプテンになれるよう努力していきます」
レタリック選手が退団してから、チームは7位、9位と苦しいシーズンが続いています。
「インターネット等で試合や結果に関してはチェックしていたのですが、タフなシーズンが続いていると感じていました。今シーズン、ヘッドコーチにレンズ(デイブ・レニー)が就任し、もともと能力の高い選手が多いことに加え、アーディ(・サベア)、ブリン(・ガットランド)といったタレントが加わりました。レンズは、チーフスでヘッドコーチを務めていた時に、ともにスーパーラグビーの頂点を目指した仲です。彼が素晴らしい指揮官であることは知っていますので、今シーズンは良い結果を得られると信じていますし、実際、チームに合流して、まだ1週間ほどですが、レンズの指導のもとでハードワークを重ねてきて、みんなから自信を感じられます」
レニーHCはどんな指導者でしょうか。
「ラグビーの知識、理解度の高さはもちろんのこと、どういうラグビーをグラウンドで展開していくのか示すのがうまいコーチだと思います。また、彼は、チームを結束させるという点でも優れたコーチです」
リーグワン開幕を目前に控えています心境をお聞かせください。
「とにかく開幕が待ち遠しいですね。実は、ラグビーワールドカップ2023フランス大会が終了し、母国に戻ってからの数日間、ちょっと体調を崩したんです。その後、家族と過ごし心身ともにリフレッシュすることができました。すっかり気持ちも切り替わって、早く赤いジャージを着て試合をしたいとうずうずしています」
ラグビーワールドカップ2023フランス大会は、決勝で南アフリカに敗れ準優勝に終わりました。
「自分たちが求めている結果を得られずに、心が痛みました。ただ、チームはフランスとのオープニングマッチに敗れた後、試合を重ねるごとに成長し、決勝の舞台に上がることができました。試合はイエローカード、レッドカードが出たり、TMOによりトライがキャンセルになったり、予期せぬことが重なり1点差で敗れましたが、チームのことを誇りに思います」
S東京ベイ、東京SG、BL東京との対戦が楽しみ
自身にとって4度目となるワールドカップ出場を目指すのでしょうか。
「答えは、ノーですね。3度もワールドカップに出場していますし、2015年のイングランド大会では優勝することができました。これからは神戸スティーラーズで良いパフォーマンスを発揮することに集中したいと思います」
多くのオールブラックスの選手が今シーズン、リーグワンでプレーします。彼らと日本で対戦するのも楽しみではないですか。
「決勝戦で対戦したスプリングボクスの選手も数多くリーグワンでプレーします。ほかにも、各国の代表選手が日本でプレーすることを選び、かつ、各チームが強化に取り組んでいます。3年前と比べてリーグ自体が進化を遂げていると思いますので、それを感じられることも楽しみです。オールブラックスに関していうと、アーロン・スミスとボーデン・バレットが加入したトヨタヴェルブリッツやシャノン・フリゼル、リッチー・モウンガが加わった東芝ブレイブルーパス東京との対戦は、個人的に心待ちにしているカードです。中でも一番楽しみなのは、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦ですね。前回在籍していた際に、トップリーグ2021プレーオフトーナメント準々決勝でS東京ベイに敗れて、シーズンが終了しました。それに、チームにはオールブラックスのフッカーであるデイン・コールズが入団することになりました。彼とは友人ですが、フィールドの中では敵になりますので、対戦した時には必ず勝ちたいと思います」
今シーズンの意気込みをお願いします。
「昨シーズンは9位という神戸スティーラーズらしくない成績に終わりました。今シーズン、チームは神戸のプライドを取り戻そうと、一丸となってハードワークしてきています。共同キャプテンとしてチームをリーグワンの頂点に導くことが私の役割だと思いますので、目の前の試合に準備から100パーセント取り組んで、一貫性をもって高いパフォーマンスを発揮し続けて優勝に貢献します」
では最後にSteel Matesへメッセージをお願いします。
「前回は新型コロナの影響で行動制限があったので、皆様と直接交流することができませんでした。今シーズンは、皆様との距離がなくなり、応援を身近に感じられるのも楽しみです。ぜひスタジアムに足を運んでいただき、ご声援よろしくお願いします!皆様とお目にかかれることを楽しみにしています」
前回はコロナ禍ということもあり、できなかったことも多かったというレタリック選手は、今回は、オフを利用して家族を連れて日本各地に行ってみたいとも話していました。一番行きたい場所というのが北海道だそうで、雪まつりに行ってみたいとも。日本食も大好きで、特にラーメンや焼き鳥がお気に入りだとか。日本愛、神戸愛あふれるレタリック選手が、今シーズン、再び大暴れしてくれる予感でいっぱいです!