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ロングインタビュー

2023-24シーズン アーリーエントリー選手インタビュー Part.2 伊藤 大祐選手

 取材日:2024年2月8日

2023-24シーズン アーリーエントリー選手インタビュー Part.2 伊藤 大祐選手

アーリーエントリー選手インタビュー第2弾は、桐蔭学園高校で春の選抜、夏の7人制大会、冬の全国高校ラグビー大会を制覇し三冠を達成。進んだ早稲田大学では1年から公式戦に出場し、4年の時にはキャプテンとしてチームを率いた伊藤 大祐選手。スタンドオフやフルバックでプレーする伊藤選手に目指す選手像についてなど話を聞きました。

※アーリーエントリーについて

「神戸スティーラーズで長く活躍し続け、
Steel Matesから愛される選手になりたい」

FB

伊藤 大祐

DAISUKE ITO

PROFILE
  • 2001年7月15日生まれ(22歳)、福岡県久留米市出身
  • 経歴:りんどうヤングラガーズ→筑紫丘ラグビークラブ→桐蔭学園高校→早稲田大学
  • ポジション/FB
  • 身長・体重/179cm・87kg
  • U17日本代表、高校日本代表

周りの選手から刺激を受けています!

1月19日に灘浜グラウンドで行われたトレーニングマッチ静岡ブルーレヴズ戦に出場しましたね。

「大学選手権準々決勝京都産業大学戦が終わってからオフに入り、チームには1月14日に合流しました。それまで軽めのトレーニングはしていたのですが、ラグビーはしていなくて、ほぼぶっつけ本番のような形で試合に臨んで。一緒にフィールドに立った先輩たちとレベルの差を感じ、これから頑張らないといけないと思いました」

とはいえ、短い時間の出場ながらラインブレイクした場面がありましたよね。

「周りの先輩にうまく使ってもらえました。大学では自分からチャンスを作っていましたが、神戸スティーラーズでは先輩たちがチャンスメイクしてくれて自分をいかしてくれる。何も言わなくても欲しい時にボールが回ってくるという感じで。練習からそういう場面が多くて、レベルの高さを感じて刺激を受けています」

これまでの練習等で特に印象に残っていることはありますか。

「どの選手も1つ1つのプレーの精度が高くて、すごいなと思うことばかりなのですが、一番印象に残っているのは、ティムさん(ラファエレ ティモシー)のプレーをはじめて目の前で見た時です。ラグビーワールドカップ2019日本大会での活躍をよく覚えているので、そのまんまだと感動しました。オフロードパス、キック、ランとすべてがハイレベルで、今後、ティムさんからいろいろなことを学ぶことができればと思います」

多くのチームからスカウトがあったことと思いますが、その中で神戸スティーラーズへ入団を決めた理由を教えてください。

「父が大阪体育大学出身で平尾 誠二さんのファンということもあり、昔の神戸製鋼の試合動画を見たことがありました。神戸スティーラーズに対して親近感があったのと、ボールを動かすラグビーに魅力を感じていて。それで一度練習に参加させてもらったのですが、すごく楽しくて、このチームでプレーしたいと思ったことが一番の理由です。実際に入ってからも日々の練習から刺激があって、とても楽しいです」

山中 亮平選手は早稲田大学出身の大先輩ですね。

「山中さんと同期の(田邊)秀樹さんが、僕が3年の時にコーチに就任し、指導を受けていました。それもあって山中さんと同じチームでプレーしていることに不思議な感じがします。同じポジションですし、山中さんから多くのことを吸収して、『15番』を背負えるようにしていきたいと思います」

高校時代はラグビー人生の原点

ところで、これまでの競技歴について伺いたいのですが、伊藤選手がラグビーを始めたのは何歳からでしょうか。

「6歳です。兄や姉もラグビーをしていたこともあり、小学校に入ってすぐに始めました。小学生の頃は柔道も習っていて、週末にラグビースクールへ行くという感じでした。ラグビー1本になったのは中学生からです。中学からは黒いジャージに憧れて、筑紫丘ラグビークラブに行くようになりました」

中学時代の最高成績は。

「中学3年の時の全国大会(太陽生命カップ)優勝が最高成績です。その時は周りの選手にも恵まれて好成績を収めることができました」

高校は親元を離れて、神奈川県にある桐蔭学園高校へ進みました。

「中学3年の夏、父と一緒に菅平へ行き高校の試合を見ることにしたんです。その時に桐蔭学園の試合を観戦し、テンポが早くて面白いラグビーだな、ここでラグビーがしたいなと思ったことがきっかけです。当時姉が日本体育大学の横浜・健志台キャンパスに通っていて、桐蔭学園と近かったこともあり、母が時々横浜に来てくれて姉と3人で生活していたので、親元を離れたとはいえ不便を感じることはなかったです」

桐蔭学園高校では2年の時に花園で準優勝、3年の時に優勝しました。高校の3年間は伊藤選手にとってどういう時期になりましたか。

「高校時代でウエイトトレーニングの仕方を教えてもらって、体が強くなりましたし、キックやパスといったベーシックな練習を積んで成長することができました。中学時代は楽しみながらラグビーをしていたのですが、高校では多くのことを教えてもらいましたし、スタンドオフ以外にフルバックでもプレーさせてもらって。高校で過ごした3年間はラグビー人生の原点だと思います」

3年の時にキャプテンを務めていましたね。チームは、春の選抜大会、夏の7人制、そして花園と三冠を達成しました。どのようにチームを牽引していたのでしょうか。

「後輩に佐藤 健次(早稲田大学)や青木 恵斗(帝京大学)といった能力の高い選手が多かったですし、みんながのびのびとプレーできるような環境をつくろうと意識していました。もともとチームは上下関係が厳しくなかったですし、先輩後輩関係なく意見を言い合えましたし、雰囲気も良くて。それも勝てた要因かもしれません」

高校時代、印象に残っている試合は。

「1年の時、全国高校ラグビー大会準決勝で、2年の時は決勝で大阪桐蔭と対戦し、どちらも敗れています。それもあって3年の時の準々決勝大阪桐蔭高校戦での勝利はよく覚えています。僕らは試合前に円陣を組まないですし、普段の練習と同じような感じでフィールドに入るのですが、3年の時の大阪桐蔭戦はみんなの気合いが違っていました。キックオフからノーサイドまで気持ちがすごく入っていて、31-12で勝利して。そこから勢いがついて優勝まで一気に勝ち上がったという感じです」

高校卒業後は早稲田大学に進みました。

「自分がより成長できる環境を求めていました。早稲田の展開ラグビーが自分に合っていると感じたのと、自分の能力が活きるんじゃないかと思いました。ただ、大学時代は怪我が多くて、シーズン通して試合に出ることができたのは4年の時だけでした。それにフォワードが劣勢に立たされて、なかなか自分たちのラグビーができないなど、うまくいかないことも多かったです。そこで、どうやって打開していこうかなど、これまで以上に考えてプレーするようになって良い経験ができた4年間になりました」

大学生活最後の試合となった大学選手権準々決勝京都産業大学戦もフォワード戦で苦戦を強いられましたね。

「京都産業大学は強かったですね。セットプレーが強力で、そこでプレッシャーをかけられました。大学でも優勝を目標に掲げてハードワークしてきましたが、結果的には叶えることができずに悔しさがあります。今度は神戸スティーラーズでリーグワン優勝を達成できるようにしていきたいです」

大学時代はフルバック、スタンドオフ、センターでも出場していましたね。

「いろいろなポジションでプレーさせてもらったことも良かったです。プレーの幅が広がったように思います」

神戸スティーラーズの黄金時代を築きたい!

伊藤選手の強みは。

「アタック力です。ランやパスでチャンスメイクするところが持ち味です」

試合に出たら、そういうチャンスメイクするところを見てもらいたいと。

「ボールを持った時にどんなプレーをするのか楽しみにしていただければと思います」

神戸スティーラーズで今後、伸ばしたいと思っているところは。

「リーグワンは大学と比べてレベルが格段に上がりますし、すべてを成長させたいです。その中でも特に伸ばしたいと思っているのがスピードです。強みの部分を極めることで、リーグワンでプレーしていく上で自信になると思います」

目指している選手像があれば教えてください。

「神戸スティーラーズでもプレーしていたベン・スミス選手のような、すべてのスキルが高いプレーヤーを目指しています。スミス選手は足が特別速いわけではないですが、ポジショニングが絶妙ですし、パスもキックもハイボールの処理もうまくて、なんでもできます。まさにお手本のような選手なので、学生時代からプレー動画をよく見ていました。すべてを成長させて、そういう選手に近づけるようにしていきたいです」

ラグビー選手として最終目標は。

「チームで活躍し続けることです」

日本代表としてワールドカップ出場だと思いました。

「もちろん招集されたら嬉しいですが、代表よりも神戸スティーラーズで活躍し続けたいという思いの方が強いです。それに自分の中でワールドカップに出場するということがどういうものなのか想像ができなくて。あと、目標というか、高校の先輩である松島 幸太朗選手(東京サントリーサンゴリアス)がそうであったように、海外のリーグに挑戦したいという気持ちがあります。ロマン・ヌタマック、トマ・ラモス、フィン・ラッセルなど好きな選手が多いフランスリーグのトップ14でプレーしてみたいなって。そして、また神戸スティーラーズに戻ってリーグワンでプレーしたい。そういう夢があります」

神戸スティーラーズで達成したいことは。

「高校3年の花園以来、優勝から遠ざかっているので、まずリーグワンチャンピオンになりたいです。そして連覇して神戸スティーラーズの黄金時代を築きたいと思います」

頼もしいですね。では最後にSteel Matesの皆様へメッセージをお願いします。

「プレーだけでなく、人間的にも愛される選手になりたいと思います。長く神戸スティーラーズで活躍できるよう頑張ります。応援よろしくお願いします!」

アーリーエントリーとして早く試合に出たいとも話していた伊藤選手。東芝ブレイブルーパス東京戦に出場し、ニュージーランド代表のSOリッチー・モウンガ選手と同じフィールドで戦いたいといい、「自分から仕掛けていくなど目立つプレーに加えて、ボールを持っていない時の動きもすごいなって。それを実際に見て体感したい!」と声を弾ませていました。チームでは同期のほかに、1歳年上の李 承信選手と仲が良く、「よくご飯を食べにいきますね」とにっこり。ちなみに、李選手のことは『承信くん』と呼んでいるとか。チームメイトからは『ダイスケ』、山下 裕史選手からは『D』と呼ばれているという伊藤選手の、今後の活躍を期待せずにはいられません!

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