取材日:2024年3月24日
【試合レポート】3月24日(日)NTTリーグワン2023-24第11節VS花園近鉄ライナーズ
前半ミスが続きもどかしい展開も、後半に入り攻撃力が爆発!8トライを奪って大勝
前節からはじまった神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で開催のユニバー3連戦2試合目は、大阪を拠点に活動する花園近鉄ライナーズとの「阪神ダービー」だ。
昨シーズンの第15節での対戦では、前半23点リードして折り返すも、後半追い上げられて逆転負けを喫した。花園Lは、今シーズンこれまで全敗と最下位に沈んではいるが、どの選手も「簡単な試合にならない」と気を引き締める。
自分たちの役割をグラウンドで遂行する。これまで通り自分たちのラグビーを精度高くやり切ることにフォーカスし試合に臨んだ。
朝から降り続いていた雨は小康状態となり、迎えたキックオフ。ボールが滑る状況ということもあり、お互いにキックを軸に試合を進める。スコアが動いたのは、6分。花園L陣22mライン付近で反則を得ると、ショットを選択し、まずは神戸Sが3点を先取する。15分には、第5節で負傷しsetu 6試合ぶりに先発出場のWTB濱野がラインブレイク。ボールを足にかけて敵陣へ入ると、相手がレイトチャージの反則を犯す。そこでトライを狙いにいき、ゴール前10m付近でラインアウトのチャンスを得るも、サインミスで相手ボールに。敵陣に入って攻撃を仕掛けるも、ミスが出て取りきれない時間が続く。ファーストトライが生まれたのは、22分。花園L陣22mライン付近で相手がこぼしたボールをCTB李が拾い上げて攻撃を継続し、最後はFB山中からパスを受けたWTB濱野がゴールラインを駆け抜ける(8-0)。しかし、直後に相手が蹴ったキックオフのボールをFB山中がノックオン。神戸陣22mライン付近中央での花園LボールスクラムからSHゲニア、FBマシレワと繋がれてトライを献上。ゴールキックも決まり8-7とされる。一進一退の攻防が続く中、神戸陣22mライン付近でのマイボールスクラムでSH中嶋からパスを受けたSOガットランドがラインブレイク。敵陣22mラインまで前進し、攻撃を仕掛ける。そこで相手に反則があり、ゴール前ラインアウトのチャンスを得ると、モールを押し込んで、No.8サウマキがトライ(32分分)。ゴールキックも決まり、15-7とする。前半終了間際、相手にPGで加点され15-10とされるも、5点リードで折り返した。
ハーフタイムではミスの多さやキックの判断などについて修正点が示され、後半へ。
互いに決め手に欠きエリアの取り合いが続く中で、SOガットランドが相手のキックをキャッチするとカウンター攻撃を仕掛ける。ボールを継続し、FLサベアにボールが渡ると敵陣22mライン付近まで前進。左中間ラックから出たボールをSOガットランドが左サイドへとキックパス。WTB松永がキャッチし、そのまま中央へ走り込んでトライ。ゴールキックも決まり、20-10とリードを広げる(9分)。しかし、自陣から攻撃を継続する中で反則が出て、神戸陣10mライン付近での花園Lボールのラインアウト。バックスへボールが展開されるとラインブレイクを許し、失トライ(13分)。ゴールキックも決まり、22-17と5点差に迫られてしまう。もうこれ以上の失点は許されない中で、17分、PGで加点し25-17とすると、そこでベテランSH日和佐が投入される。
「3、4フェイズ重ねて攻撃を継続すると、相手はディフェンスが崩れはじめるので、自分の持ち味である速いテンポでボールを出してどんどん攻撃しようと。あとは、自陣で無理やり攻撃を仕掛けても、しんどくなるだけです。そこは状況を見ながら、これまで通りキックを使ったり、スペースがあれば仕掛けたりと、状況判断のところも意識していました」(日和佐)
ベテランのテンポの速いパス出しが攻撃にリズムを生み、流れが一気に神戸Sへと傾く。敵陣22mライン中央で相手の反則を得ると、ゴール前ラインアウトに。23分、モールを押し込んで、北出から代わったHO松岡がトライをマーク。ゴールキックも決まり32-17。27分には、自陣から連続攻撃でゴール前まで迫り、相手の反則を得ると、ゴール前中央からサインプレーでFLサウマキがトライ。ゴールキックも決まり、39-17に。テンポよく攻撃を仕掛け、プレッシャーをかけると、花園Lは反則を繰り返し、31分、相手にイエローカードが提示される。数的優位な中で、31分、WTB松永が、37分には今季初先発のCTBラファエレ、40分、FB山中がトライを決め、60-17でノーサイド。神戸Sは3トライ差以上での勝利に与えられるボーナスポイント「1」を含む勝ち点「5」を獲得し、プレーオフ進出圏内である4位をキープした。
試合後、レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチは「結果には満足しています」と述べた後、「前半はプレーの精度の部分があまりにも低く、相手にまったくプレッシャーをかけることができませんでした。後半は丁寧にプレーし相手にプレッシャーをかけてスコアに変えていくことができましたし、ディフェンスに関してもセットプレーからトライを奪われたところ以外は良かったです」と後半の戦い方については及第点を与えた。
前半ミスが多かった点についてベンチから見ていたSH日和佐は、
「花園LのFBマシレワ選手とSOクーパー選手が不規則な回転のキックを蹴ってきて、そこから自分たちのアタックにうまく繋げられないところがありました。それなのに不用意にキックを蹴って、相手にボールを渡してしまって…。前半はそれを繰り返しているという印象がありました」と振り返る。
2トライを取ってプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたWTB松永も
「自分たちがやりたいコンテストキックを相手に蹴られてしまったところがありました。また、敵陣に入っているのに、自分を含めてキックを蹴り過ぎてしまって。そこで相手にボールを渡してしまいました」と反省する。
また、前半に関しては攻撃の起点となるマイボールラインアウトでのミスも目立った。共同キャプテンでラインアウトの核となるLOレタリックは「コミュニケーションのミスがあった」と俯く。ただ、この部分は「修正することができる」と明言する。
8トライを奪っての大勝も、多くの課題が出た一戦になったが、
「前半は確かにミスが多く良い戦い方ではなかったですが、リードして折り返すことができましたし、勝ち点5を取って勝利することができました。チームは良い方向に向かっていますし、自信を持っていいと思います」とSH日和佐。
次節は1週間のバイウィークを挟んだ後、4月7日(日)現在3位の東京サントリーサンゴリアスとの対戦だ。相手は今節で横浜キヤノンイーグルスに敗れ、3敗目を喫した。神戸スティーラーズも横浜Eが勝ち点「1」差に迫る中で負けることができない。この試合はお互いにとってプレーオフ進出に向けて重要な一戦となる。
次節に向けて鍵となるのは、プレーの精度だとSH日和佐は語っていた。そして、キックを蹴るのか、そのまま継続するのか、その状況判断もポイントだ。今シーズン最後の地元神戸での一戦を勝利で飾れるよう、神戸スティーラーズは全力で準備を進めていく。
〜NEXT GAME〜
NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24第12節
Kiss PRESS SPECIAL MATCH
4月7日(日)14:30 KICK OFF
コベルコ神戸スティーラーズVS東京サントリーサンゴリアス
@神戸総合運動公園ユニバー記念競技場
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