取材日:2016年6月12日
練習試合 vs 近鉄ライナーズ戦終了後のコメント
ジム・マッケイ新ヘッドコーチが指揮を執りはじめて2週間。今シーズン、初めての練習試合が神戸総合運動公園ユニバー記念競技場にて行われた。対戦相手は、坪井章新監督の下、「MOVE FIRST」を標榜する近鉄ライナーズだ。試合はスタンドオフでの先発出場は高校以来だというイーリのキックオフでスタート。若手を中心としたメンバー構成のコベルコスティーラーズは、雨でボールが滑りやすい中でも、果敢に攻めるがミスが起きてしまう。またスクラムでも苦戦。しかしながら攻め続けるコベルコスティーラーズは、17分、ハーフライン付近のマイボールスクラムから展開するとイーリが左奥へとキックパス。それをWTB今村がうまくキャッチし、インゴールへ。5-0と先制したのも束の間、近鉄のキックオフからのタッチキックをチャージされて、ピンチを招いてしまう。さらにゴールラインを背負いながらのマイボールスクラムで、コベルコスティーラーズはホイールの反則を犯し、相手ボールスクラムにしてしまう。そして22分、神戸陣近鉄ボールのゴール前スクラムからNo.8が単独でサイドアタックを仕掛けるとFWが連続攻撃をし、中央にトライ。ゴールキックも決まり、5-7。その後、何度もゴール前まで迫るが、ハンドリングエラーが起き、仕留め切ることができない。逆に35分、41分と立て続けにトライを奪われ、5-21で前半終了。
後半は「多くの選手のプレーを見たい」という新ヘッドコーチの意向もあり、先発メンバーから8人を入れ替えて臨む。降りしきる雨の中、コベルコスティーラーズは前半同様、ミスを連発し、なかなかリズムを掴むことができない。後半、先に得点したのは近鉄。14分、ゴール前スクラムから右に展開した後、FWがタテをつきトライ。ゴールキックも決まり、5-28とさらにリードを広げられる。しかしここからコベルコスティーラーズが反撃を開始。23分、相手に反則が出て、ゴール前でのラインアウトを得ると、FW・BK一体となった連続攻撃でトライラインまで迫り、最後は梁から替わったSH田中がインゴールへ。イーリのゴールキックも決まり、12-28に。その5分後には、近鉄陣22mライン付近のラインアウトからバックスへと展開、CTBバイフ、FB下地が、相手を引きつけてできたスペースにパスを受けたWTB中濱が走り込みトライをマーク。17-28と11点差にまで詰め寄る。残り10分、逆転勝利を目指すが、今シーズン3試合目という近鉄を前に、トライラインは遠く、そのままノーサイド。新生コベルコスティーラーズは2016年度初戦を飾れず黒星となった。
試合をスタンドから見ていた橋本主将は、「マッケイヘッドコーチが合流してから間もないこともあり、まだ彼のやりたいラグビーが浸透していないのは仕方ないのですが、ハンドリングエラーなど、個人のミスが多過ぎました。雨という条件は相手も同じですから」と苦い表情。続けて「マッケイヘッドコーチの目指すスタイルは、アタックでもディフェンスでもアグレッシブに仕掛けるラグビー。アタックではボールを早く動かすことがテーマです。これからその部分をしっかり突き詰めていきたい」と話した。またマッケイヘッドコーチは「指揮を執りはじめたばかりですので、スコアボード上の数字は期待していなかったのですが、やはり勝利ができなかったことは悔しいですね」とコメントした後、「今日の試合は、ストレングス&コンディショニングを徹底的に鍛えている中で、全選手がしっかり動けました。もちろん課題はたくさんあります。まずセットプレー、そして連携。これらの部分については、取り組みはじめたばかりですので、開幕までに積み上げていきたい。それと今日の試合に関しては、多くの選手のプレーを見ることができました。その中で、バンリーベンは80分間、良い働きをしていましたし、BKでは中濱も光っていました。このチームは大きなポテンシャルがあります。それを改めて感じることができました」と総括。最後に雨の中、応援に駆けつけてくれたファンに向けて「ここ数年やってきたプレースタイルからボールを動かすラグビーへと舵を切ろうとしています。このスタイルを浸透させていき、ファンの方がワクワクするようなラグビーをご覧いただけるようにしたいと思います」と決意を語った。
次なる試合は、6月18日(土)、灘浜グラウンドで開催の vs コカ・コーラレッドスパークス戦(13時キックオフ)となる。
宣原甲太選手、イーリニコラス選手、林真太郎選手、中濱寛造選手のコメントです。
HO
宣原甲太選手
「フッカーとして一番の仕事であるセットプレーのところで100パーセント、バックスへ良いボールを供給できなかったことが反省点です。ラインアウトはスローとリフトのタイミングが合わなかったり、サインミスがあったりしました。スクラムは、マイボールの際は、120パーセントの状態でスクラムハーフにボールを供給しないといけないのですが、それができたかと言われれば、どうか。今日はセットプレーに関していうと50点です。良かった点は、個人的にはタックルです。ラック周辺でいい出足でタックルにいけました。この部分はさらに上げていきたい。それと僕の武器はフィールドプレーですので、今後はもっとボールタッチの回数を増やせるようにしたい。あとディフェンスでは、今日の試合ではジャッカルが0回だったので、これも増やしていきたいと思います」
SO
イーリニコラス選手
「大学やパナソニックで試合途中からスタンドオフというのは何度かありましたが、先発出場は高校以来です。今週は練習でもスタンドオフに入っていましたが、実戦と練習は別物なので、不安もありましたが、まずまずのプレーはできたように思います。チームとしては、今年のスタイルであるボールを動かそうとするアタックが雨の中で難しかったり、まだ取り組みはじめて日が浅いこともあり連携がうまくいかなったりしました。今日は初戦ということで、負けたことは悔しいですが、チームにとっても、個人的にも、いい経験になりました。みんな試合勘を取り戻したと思いますし、次の試合は、もっと良くなる。次は今日より精度の高いプレーをしたいと思います」
CTB
林真太郎選手
「トップリーグで初めての試合なので、勝ち負けは置いておいて楽しかったです。僕の持ち味はアタックなのですが、トップリーグになると、相手のフィジカルが強くてなかなかゲインが切れなかったり、パスのオプションや連携もまだまだだったりと、課題が分かりました。今日、試合に出て通用すると思ったことは、ディフェンスです。フィジカルでは負けてしまうところがありますが、スピードはついていけました。新人研修が先月末に終わり、練習に合流してからまだ数週間なので、今後は、もっと周りの人とコミュニケーションを取って、自分の持ち味をさらに出せるようにしていきたいと思います」
WTB
中濱寛造選手
「前半、トライラインに迫った時に、アタックでミスを重ねるなど、久しぶりの試合ということもあり、少しバタバタしてしまいました。また同じくゴール前で、フィジカルの部分でも受けてしまったところがありました。チームとしては獲るべきところでトライが獲れなかったことが大きな反省点です。個人的にはコンディションが上がってきていますので、今後、もっとキレ、スピードが上がってくると思います。チームも、個人としても、これからどんどん良くなっていくので楽しみにしていてください」