取材日:2016年6月25日
練習試合 vs NECグリーンロケッツ戦のコメント
今シーズン最後の春の練習試合 vs NECグリーンロケッツ戦が、NEC我孫子グラウンドで行われた。この日は「我孫子ラグビーDAY」ということで、観客のほとんどがNECグリーンロケッツのサポーター。そんな中でも、数少ない関東方面での試合ということで、コベルコスティーラーズのファンも集まってくれた。熱心なファンの前で良い試合をしたいところだ。
これまでと同じく若手中心のメンバー構成で臨んだコベルコスティーラーズは、開始早々、神戸陣22mライン付近の相手ボールスクラムからFW・BK一体となった攻撃を受け、先制のトライを献上。しかし、すぐさまNEC陣10mライン付近で出足の早いディフェンスからターンオーバーすると、パスをつないでFLバンリーベンがゴール中央にトライ。ゴールキックも決まり、同点とする。その3分後には、再びNECがトライを奪い、7-14。互いに譲らず、拮抗した展開が続く中、20分、ファーストトライと同様に、ターンオーバーから攻撃に転じると、順目に展開し、SH 梁からパスを受けた林がインゴール右隅に飛び込みトライ。SOイーリのゴールキックは外れたものの、12-14とし、シーソーゲームの様相に。その後は、互いに攻め込むものの、決め手を欠き、追加得点を上げることができない。このまま前半終了かに思えたが、37分、ハーフライン付近でのNECボールラインアウトからNO8にビッグゲインを許すと、22mライン付近左中間に形成されたラックから出たボールをSO がキックパス、そのボールをキャッチしたWTBにトライを許してしまう。ゴールキックも決まり、12-21とされ、ハーフタイムへと突入する。
後半は、リザーブに入った11名がグラウンドへ。両WTBは、前半から引き続き田中、そしてルーキー徳田というSHの2人が入る布陣となった。巻き返しを図るコベルコスティーラーズは、イーリから代わったSO 下地のキックオフをマイボールにすると、テンポよくアタックを仕掛けてゴール前へ。しかし獲り切ることができずにターンオーバーを許してしまう。相手がボールをタッチへ蹴り出し、相手陣22mライン付近の神戸ボールラインアウト。まだまだNEC陣内。チャンスは続く。ラインアウトからBKへとボールを展開すると、SH佐藤の素早い球捌きから速い攻撃で再びゴール前へと攻め込む。だが、後半はトライラインが遠い。ゴール前でミスが出て、相手ボールに。その後もNEC陣でアタックし続けるが、ハンドリングエラーなどでチャンスを失う。後半開始から10分以上、コベルコスティーラーズの時間が続いたが、12分、神戸陣22mライン付近でのNECボールラインアウトからFWで一気に前に出られると、最後は7番が抜け出しトライ。ゴールも決まり、12-28とさらにリードを広げられる。まずは「1トライ!」。そんな空気が焦りに変わる。下地のキックオフが、直接タッチラインを割り、NECボールのセンタースクラムに。さらにコラプシングの反則と、なかなか流れを取り戻すことができない。18分には、相手SOがディフェンスラインの裏へと蹴り上げたボールを自らキャッチし、BKへと展開すると、最後は相手FLにトライを決められる。ベテラン佐藤が大きな声で仲間を鼓舞し続けるが、30分、38分にもトライを失い、12-47でノーサイド。7トライを奪われ、大差での敗戦となった。
試合後の円陣で、マッケイヘッドコーチは「現時点での自分たちの位置を図ることができたのではないか。大敗し、ショックを受けていると思うが、この敗戦を、今後、あの敗戦があったからと思えるようなポジティブなショックにしよう」としっかり前を向いた。ゲームキャプテンを務めた梁は「前半はいい形でトライを獲ることができましたし、相手に奪われたトライも、いいディフェンスをしている中での個人のタックルミスから。ディフェンスが崩されて獲られたものではありません。後半について言うと、アタックの意思統一ができていなかったところがあったように思います。試合中にお互いにコミュニケーションを取りながら修正できるようにしないといけません。ただアタックもやりたいことができている時間もありましたし、今後はその時間をどれだけ長くできるか。この試合を良い教訓として受け止め、すべての面で成長できるようにしていきたいです」とコメント。
コベルコスティーラーズの春の練習試合の成績は、1勝2敗と残念ながら負けが先行してしまったが、マッケイヘッドコーチが合流して、まだ1ヶ月足らず。網走夏合宿(7月22日〜31日)を経て、これからチームは大きな成長曲線を描いていくはずだ。
長崎健太郎選手、張碩煥選手、前田大輔選手、鈴木敬弘選手、佐藤貴志選手、トニシオ・バイフ選手のコメントです。
HO
長崎健太郎選手
「セットプレーの安定を第一に考えていました。ラインアウトは安定していたのですが、スクラムは反則を多く取られてしまい、せっかく敵陣に入ったにもかかわらず、そこで反則をし、エリアを取られてしまいました。また今日は、トライにつながるタックルミスをしてしまって。前半37分のトライは、僕が相手NO8にビッグゲインを許してしまったところからです。敗れましたし、反省点が多い試合となりました。春の練習試合では、セットプレーが安定せず、苦しい展開にしてしまいましたが、スクラムは、初戦と比べると良くなってきています。まだまだ課題は多いので、100パーセントに近づけていけるようしていきたいと思います」
LO
張碩煥選手
「タックルミスをしてしまったのが悔しいです。トップリーグは、韓国よりもラグビーのテンポが速いですし、外国人プレーヤーもいます。フィジカルの強さ、スピードをもっと身につけないといけないと痛感した春の練習試合でした。もっと練習を積んで、持ち味であるフィールドプレーで活躍ができるように頑張ります」
LO
前田大輔選手
「試合については、アタックでの自分たちのミスで自滅してしまった試合です。個人的には、ラインアウトにフォーカスして試合に臨みました。自分のリフト、ジャンプでどれだけ精度高く遂行できるか。自分がジャンプするシチュエーションは100パーセントだったのですが、終了間際に自分がリフティングする場面でボールをキャッチできなかった。体力的にきつくなった時でも精度高くやり切らなければいけません。また今季、自分自身、特に強化しているのが、ディフェンスです。タックルの出足や速い戻りなど、もっとできるようにならないと。今季こそトップリーグデビューができるように、レベルアップを図りたいと思います」
FL
鈴木敬弘選手
「完敗です。相手の方が、セットプレー、パス、タックルなどの精度、コミュニケーションなどで優っていました。これから、それらを突き詰めてやっていかないといけません。悔しい敗戦になりましたが、これがいいスタートになるようにしないと。トップリーグ開幕まで2ヶ月、マッケイヘッドコーチが目指すラグビーを体現できるように、ひとつひとつパーツを積み上げていきます」
SH
佐藤貴志選手
「練習でやってきたことについては、できていたところもあります。ただセットプレーやサインプレーなど、突き詰めていないことに関してはまだまだ。今日はキック、セットプレー、タックルの質など、良くない面が多く出てしまいましたが、これをポジティブに捉えて、前向きに取り組んでいきます」
CTB
トニシオ・バイフ選手
「フィジカルの強さを全面に出して、ゲインラインを切ることを心がけていました。そこはある程度できたと感じています。チーム全体としては、良いプレーが続いた後に、悪いプレーが出てしまって、流れを相手に渡してしまいました。いいプレーが80分間続くようにしないといけません。春の練習試合を通じて、ハンドリングエラーなどの簡単ミスが多く、トライを獲るべきところで獲り切れませんでした。コミュニケーション、精度などを上げていき、たくさんトライを獲るラグビーができるようにしたいと思います」