取材日:2022年6月27日
退団選手インタビュー Part.13 ブロディ・マクカラン
ブロディ・マクカラン
BRODI MCCURRAN
PROFILE
- 1994年5月24日生まれ、ニュージーランド出身
- ハミルトンボーイズ高校→帝京大学→コベルコ神戸スティーラーズ(2019年度)
- ポジション/No.8
- 2021−2022シーズンまでの公式戦出場回数/21
「大好きなチームを離れるのは寂しいですが、 これからも日本代表を目指して頑張ります」
新加入選手インタビュー(https://www.kobesteelers.com/interview/closeup/2019/05/2019-2020-rookie-part02.html)で、スティーラーズの創部100周年までプレーしたいと言われていたので、突然の退団発表に驚きました。
「スティーラーズで引退するまでプレーしたいと思っていましたし、チームのことや仲間のことが大好きだったので、難しい決断でしたが、ステップアップのためにチームを離れることにしました。ただ、スティーラーズに入団して良かったと心から思いますし、ワールドクラスのコーチや選手がいる環境で、成長することができました。コーチ、スタッフ、チームメイトには感謝の気持ちしかありませんね」
成長を感じているところとは?
「ラグビーのスキルはもちろんですが、ラグビー以外の面でも成長を感じています。特に今シーズンは、チームや会社の歴史を学び、選手に伝えるレガシーグループの一員に任命されました。阪神淡路大震災のことや、当時の会社の状況を知り、ますます会社やチームに対して愛着が湧きました。また、レガシーグループは、みんなの前で、発表する機会が多かったんです。大学時代にミニグループで話し合うことはありましたが、全員の前で話すことはしたことがなかった。しかも、日本語での発表です。難しかったのですが、とても良い経験になりました。それに、レガシーグループは、前川(鐘平)さん、徳田(健太)さん、ケンティ(松岡賢太)と、僕以外はすべて日本人選手。ラグビーに関連する日本語は比較的簡単なのですが、それ以外の日本語はハードルが高くて。でも、日本語でディスカッションして、日本語にも自信をつけることができました」
レガシーグループの一員になったことは、マクカラン選手にとってプラスになったんですね。
「素晴らしい経験になりました。加古川工場に2度行ったのですが、2回目は、レガシーグループで歴史を勉強した後だったので、1回目よりも深く理解ができましたし、社員の方とのディスカッションもあり、興味深く話を伺いました。チームだけでなく、会社のことをこんなにもしっかりと学ぶチームは他にはないんじゃないかな。スティーラーズの素晴らしいところだと思います」
チームに関することでほかに印象深いことは?
「スティーラーズに入って印象的だったのは、コーチから教えてもらうだけでなく、選手同士でも、コーチングし合っていることでした。大学では、自分自身の成長だけにフォーカスしていましたが、スティーラーズでは、みんなで一緒に成長できるように取り組んでいました。ライバルだけど、お互いに教え合って成長をサポートしていたことが新鮮でした」
影響を受けた選手を教えてください。
「まず、T・フランク(トム・フランクリン)。彼はスーパーラグビーでもプレーしたことがあり、経験が豊富です。T・フランクと僕は、ハンドリングやフットワークを持ち味にしていて、タイプが似ていることもあり、よくアドバイスをもらいましたし、彼がフランカーで出場する時は、僕に聞いてくれることもありました。T・フランクとは、よくプレーについて話をしましたね。あと、有田(隆平)さん。有田さんはポジションが違いますが、同じ時期にリハビリをしていたことがあって、いろいろな話をしました。有田さんは他のチームに所属していたこともあり、スティーラーズでは当たり前になっている、選手同士でのコーチングが他のチームではあまり見られないと教えてもらったんです。有田さんの話は、いつも興味深くて、為になることばかりでした。それからDC(ダン・カーター)も。FWとBKということで、それほど深く関わることはなかったですが、やはりすごい選手だなと思うことがたくさんありました。特にオンとオフの切り替えの上手さは見習いたいと思いましたね」
印象に残っている試合は?
「今シーズンは、弟(ニコラス・マクカラン)と初めて対戦した東芝ブレイブルーパス東京戦が印象に残っています。負けてしまいましたが、弟と一緒にリーグワンのグラウンドに立てたことが、マクカラン家にとって記念になりました。それから、昨年、娘が生まれたのですが、妻が初めて娘をスタジアムに連れてきた今シーズンの開幕戦もメモリアルな一戦です。娘のラグビー観戦初試合ということで、気合いが入りました。それ以外では、トップリーグデビューとなった『ジャパンラグビー トップリーグ2020』第4節NTTドコモレッドハリケーンズ戦ではDCと一緒にプレーできましたし、トライも決めることができました。あと、『ジャパンラグビートップリーグカップ2019』の決勝戦も日本代表が参加していない大会でしたが、優勝できて良かったと思っています」
マクカラン選手は、ウェイン・スミス ディレクター オブ ラグビーに惹かれてスティーラーズへの入団を決めたと言われていました。スミス ディレクター オブ ラグビーの指導はどうでしたか?
「ウェインはいつもポジティブで、選手に自信をつけさせてくれます。それに、自分の持ち味をもっと強化するように言ってくれて…。普通は、課題を指摘され、その部分を強化するように言われます。だけど、そうするうちに、自分の良さが消えてしまう可能性もあります。ウェインの、良いところをさらに強化するというマインドセットは素晴らしいと思いました」
スティーラーズのラグビーとはどういうものでしたか?
「一人一人の役割が明確で、細部にこだわって、精度高くやる。特にパスやサポートコースなどのディテールへのこだわりは徹底しています。それがグラウンドで体現できれば、どのチームにも負けないと思います。神戸のラグビーを経験し得たことを、今後にいかさないといけないと思います」
チームに期待することは?
「日本代表に選手をたくさん輩出して、スティーラーズが日本ラグビー界を牽引するような存在になって欲しいです」
チームメイトへメッセージを。
「同期をはじめ、チームメイトのことが大好きです!コロナ禍になる前の入団1年目は毎週のように食事に行って、親交を深めて、本当に楽しかったです。この2シーズンはコロナの影響でなかなかそういう機会を持つことができなかったですが、たくさん良い思い出を作ることができました。大好きなみんなにサヨナラを言わなくてはいけないことは辛いですし、寂しいですが、友情はこれからも続きます。お互いに頑張りましょう!特に同期は仲が良かったので、応援しています!」
ファンの皆様へメッセージをお願いします。
「スティーラーズファンの皆様は、天気が悪くても、試合会場がどんなに遠くても、スタジアムに来て僕たちの応援をしてくれて、感謝しかありません。また、SNSを通じてメッセージもたくさん送っていただきました。力をもらっていましたし、嬉しかったです。これからも僕はずっと目標にしていた日本代表を目指してラグビーを続けますので、応援よろしくお願いします!もちろん、スティーラーズのことも引き続き応援してください!3シーズン、ありがとうございました」